ページタイトル 適切な睡眠時間

対象者: 一般向け

適切な睡眠時間

 適切な睡眠時間はどのようにしてきめることができるのでしょうか?必要な睡眠時間には個人差があります。実際長時間眠らないと体調が悪くなってしまう長時間睡眠者と呼ばれる方がいらっしゃる一方で、短時間睡眠でも大丈夫とおっしゃる短時間睡眠者とがいらっしゃいます。そして長時間睡眠者と短時間睡眠者とはある程度遺伝的に決まっているようなのです。また必要な睡眠時間には疲れや精神状態なども関係してきます。ですからある方に今日あなたに必要な睡眠時間は○時間です、と伝えることは実はとても難しいのです。適切な睡眠時間の決定は難儀です。
 ただヒトには1日に2回寝入りやすい時間帯のあることがわかっています。スライド1では眠気を縦軸に、横軸に時刻をとっています。午前・午後とも2-6時の間で眠気が強くなっていることがわかります。スライドの2ではやはり横軸は時刻ですが、縦軸には、真っ暗な部屋で目をつぶって横になってもらって、寝付くまでの時間を示しています。すぐ寝付いてしまう、ということは眠気が強い、と言うことになります。スライド1とは縦軸の高低が逆ですが、午前・午後とも2-6時の間ですぐに寝てしまう、つまりは眠気が強くなっていることがわかります。
 午後2時に眠くなるのは昼食をとったせいとお考えかもしれませんが、食事をまったく与えないという実験や、食事を2時間おきに与えるという実験をしても大多数のヒトは午前・午後とも2-6時の間には眠くなることがわかっています。実は食事をすると、食欲を高め、覚醒を高める働きのあるオレキシンという物質の分泌が減るので、「食事を取ると眠くなる」のですが、それでは朝食の後、皆さんひどく眠くなるかというと、必ずしもそうではないと思います。ヒトに備わったリズムとして、大多数のヒトは午前・午後とも2-6時の間には眠くなるのです。さらに言えばこの時間帯には、交通事故や産業事故の発生も多くなってしまうのです。逆に言えば、これ以外の時間帯にはヒトの覚醒度は本来的には高い、ヒトは一般的には眠くない、ということになります。なお昼食後にひどく眠くなるのは、オレキシンが減ることに、眠気のリズムが加わって眠気が強く表れるというわけです。
 ヒトに備わったリズムとして、大多数のヒトは午前・午後とも2-6時の間には眠くなり、事故の発生も多くなるのですが、逆に言えば、これ以外の時間帯にはヒトの覚醒度は高い、ヒトは眠くない、ということになります。そこで私は午前10-12時に眠気なく十分な活動ができるか否かが睡眠時間が足りているかどうかを判断するためのひとつの目安になるのではないかと考えています。つまり午前中にしっかりと目覚めて活動ができていれば、その方の眠りの量、質、生活リズムには大きな問題はない、と考えていいのではないかということです。ただし1歳の赤ちゃんだと午前中に昼寝をすることも珍しくはありません。必要な睡眠時間に関する私の判断基準を当てはめることができるのは2歳以降と考えています。

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