ページタイトル 笑いと音楽の医療への応用

対象者: 一般向け 医療関係者向け

笑いと音楽の医療への応用

添付ファイルでは論文形式にし参考文献も入れました。医療関係の方はそちらを。

 笑いが及ぼす医療的効果の報告がよく知られるようになったのは、高名な知識人で、Saturday Review誌の編集長でもあったNorman Cousins の強直性脊椎炎加療に関する論文で、彼は、自ら積極的に笑うことによりその症状が緩和され難病を克服、その後、職場への復帰を果たしたことから、そのことを論文として公表した。1989年のJAMA(Journal of American Medical Association; 米国医学会雑誌)誌にも掲載されている。
Natural Medicine Journal (自然医学雑誌)の2010年1月号にはJacob Schor氏(自然療法国際雑誌の編集委員)執筆の興味深い総説が掲載されている。題名は「感情と健康:笑いは素晴らしい医療」。以下にこの論文の一部を紹介する。
彼はアレルギー専門医の木俣肇氏の一連の笑いが及ぼす治療効果に関する研究を紹介している。彼は木俣氏が治療に1936年のチャップリンの映画「モダンタイムズ」を用いていることから、木俣氏の一連の研究を「チャップリン研究」と称している。なお木俣氏は最近ミスタービーンの映画も用いているそうだ。木俣氏の初期研究もJAMA誌に掲載されている。
麻酔導入時にピエロがいることで、子どもたちの不安が減少したことが報告されているが、ピエロ的な介入は高齢者、精神科患者、認知症患者についても好影響を与えることが指摘されている。
笑いはストレスの指標であるコルチゾールレベルを低下させることや、NK細胞(白血球として体内を循環、ガン細胞やウイルス感染細胞等の異物を見つけると攻撃する)の活性を高めること、さらには落語がリウマチ患者の炎症性サイトカインレベルに影響する事も知られている。また笑いが免疫機能やNK細胞活性に関連する遺伝子発現に関連するとともに、糖尿病の合併症発現時に出現するたんぱく質のレベルを遺伝子レベルで制御することで低下させる事が日本の研究者により報告されている。
以上はSchor氏の論文にある内容で、彼はこの総説を「笑いはストレスの解毒剤」「患者さんにはこの解毒剤を定期的に使う必要があることを常に伝えなければならない」と結んでいる。なお前出の木俣氏が音楽の効果についても研究しており、ベートーベンではなくモーツアルトがアレルギー反応に関し良好な影響を与えることを報告していることもSchor氏は紹介している。興味あることにモーツアルトのK448がてんかん患者さんの発作波および発作に好影響を与えることが報告されている。また音楽が脳血管障害後の患者さんの学習能力や記憶力に好影響を与えることも報告されている。
 

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