文部科学省の学校保健統計調査で視力が「1・0未満」の幼稚園児が3割に迫ることが公表されました(図1)。視力の低下はテレビやゲーム機器、の影響とみられ、同省は「外で遊ばず、家にいる時間が長いのが要因」と分析しています。
この分析の根拠が良くわからないのですが、2005年にすでに大阪の桃山学院大学の高橋ひとみ教授が「夜ふかしでは視力が低下する」という調査結果を発表なさっています。さらに1999年には、2歳以前に夜間の環境が明るいと近眼の割合が増す、というデータがネイチャー誌に発表されています(図3)。2歳前という時期は目が急速に成長する時期でかつ通常近眼がいまだ発症する時期ではないのだそうです。そして2-16歳児の近眼の割合を、2歳以前の夜間環境が暗闇である場合、夜間照明をつけていた場合、部屋の明かりをつけていた場合、とに分けて調べたところ、その割合は10%、34%、55%だったというのです。ただし、この夜間の明るさとその後近眼になる率の高まりとの関連については、その後のシンガポール(Saw et al. Br J Ophthalmol 2001;85(5):527-8)やイギリス(Guggenheim et al. Br J Ophthalmol 2003;87(5):580-2)の調査では明確にされていません。ただし米国からは一部支持するデータ(2-16歳の小児では0-2歳時の寝ていた環境の明るさと近眼であることとの間に明確な関連はなかったものの、17-40歳の成人では0-2歳時に夜も明かりがついている環境で寝ていた場合に、近眼である割合が高い。 Chapell et al. Percept Mot Skills 2001;92 (3 Pt 1):640-2)が報告されています。
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