ページタイトル 春、サマータイム開始直後には心筋梗塞の危険が高まり、秋、サマータイム終了直後には心筋梗塞の危険は低下します。

対象者: 一般向け

春、サマータイム開始直後には心筋梗塞の危険が高まり、秋、サマータイム終了直後には心筋梗塞の危険は低下します。

 2008年10月30日、ニューイングランドメディシン誌にスウェーデンから「Shifts to and from Daylight Saving Time and Incidence of Myocardial Infarction」と題された論文、つまり「サマータイム開始時期と終了時期における心筋梗塞の発症頻度に関する研究」が発表されました(http://content.nejm.org/cgi/content/full/359/18/1966)。結論は「サマータイムが始まる春には心筋梗塞が増え、サマータイムが終わる秋には心筋梗塞は減る」です。
 サマータイムのヒトの心身に与える悪影響については本HPのコラム(2008年9月10日)、やレポート(2008年7月3日)でもすでにお伝えしていますが、新たな悪影響に関するデータです。
 春に時計を1時間進め、秋には1時間戻す、いわゆるサマータイムは世界中で現在15億人以上が使用させられています。今回の、1987年から2006年のスウェーデンでのデータに基づいた検討によると、サマータイムが始まった直後(春)の初めの三日間(月、火、水)に心筋梗塞発症の危険率が有意に増加します。1週間の平均で見ると、危険率は5%高まるということです。逆にサマータイムが終わった直後(秋)の月曜には心筋梗塞発症の危険率が有意に減少、1週間の平均で見ると、危険率は1.5%低下したとのことです。そしてその原因としては、サマータイムが始まると睡眠時間が1時間減り、サマータイムが終わると睡眠時間が1時間増えることの影響を指摘しています。
 「生活リズムの急激な変化で体調を乱すヒトがいる」ことを示唆している、「サマータイム開始時に1時間早く起きる必要から睡眠時間を減らされることで心血管系に悪影響を受けるヒトがいる」可能性が考えられる、と著者は述べています。なお心筋梗塞発症の危険率は春には女性のほうが高まり、秋には男性の方が低下し、これらの影響は65歳よりも低い年齢で大きく認めた、と報告されています。



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