ページタイトル メディアリテラシー 日本青少年研究所調査「高校生の学習意欲と日常生活」結果を例に

対象者: 一般向け

メディアリテラシー 日本青少年研究所調査「高校生の学習意欲と日常生活」結果を例に

 財団法人日本青少年研究所が発表した日米中三カ国の高校生各約1000人の「学習意欲と日常生活」に関する比較調査結果について大手新聞各社が2005年3月16日の朝刊で伝えています。その伝え方が新聞によって大きく違っていました。メディアリテラシーの観点から参考になると考え、ご紹介します。なおWikipediaによればメディアリテラシー(英: media literacy)とは、「情報メディアを主体的に読み解いて、必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力のこと。「情報を評価・識別する能力」とも言える。ただし「情報を処理する能力」や「情報を発信する能力」をメディア・リテラシーと呼んでいる場合もある。」とあります。
 この調査では多くの設問がなされていますが、その中から私が興味を持った設問6項目とそれに対する結果を提示します。皆さんはご自身が新聞記者になったつもりで、皆さん自身ならどの項目を記事にするか、を考えながら6つのジャンルの設問と結果をご覧下さい(スライド1)。最後に大手新聞各社の記事をご紹介します。スライド2では調査対象と調査時期を示してありますが、韓国の結果は提示されていません。スライド3から8が設問と各国高校生の回答です。スライド9はスライド1と同じです。さて皆さんはどの項目を記事にしようと思いましたか?
 さて結果です。読売と日経(スライド10)はどちらも社会面の第二面に同じ調査に関する記事が載っていました。読売の見出しは「少年遊びやすく 学なり難し!? 「ほとんど勉強しない」45% 米15% 中国8%」、日経は「日本の高校生「学校外で勉強せず」45% 学習意欲の低さ鮮明に 国際比較 中国8%、米は15%」でした。読売新聞は社説でも「元気がないぞ日本の高校生」としてとりあげていました。ついで産経です(スライド11)。第一面の左側にカラーでグラフ入りの立てぶち抜きの記事で、見出しは「自己中心で刹那的 日本の高校生 国に誇り51% 親の面倒43%」でした。朝日(スライド12)は2面にベタ記事で「高校生の過半数就寝は0時過ぎ 「授業中居眠り・ぼうっと」7割」という見出しで載っていました。毎日新聞は入手した14版を見る限りこの調査結果に関する記事は載っていませんでした。スライド13には各新聞の取り上げ方を先の6項目に分けて示しました。
 同じニュースソースであっても、新聞の見出しはこんなにも違うのか、新聞の扱い方はこんなにも違うのか、ということを再確認していただければと思います。この件の教訓は、もちろん毎日最低3紙には目を通しましょう、などということではなく、私たちが接している情報にはすでに相当なバイアスがかかり、修飾されている、ということをしっかりとわかって情報に接しなければいけない、ということだと思います。情報を鵜呑みにしてはいけない、情報に振りまわされてはいけないということです。
 なおスライド14以降は全設問と回答結果です。

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