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2016/09/29

失敗の本質 日本軍の組織論的研究  戸部良一、寺元義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 著

昭和59年4月の著作であるが、内容はきわめて新しく、学ぶべき点が多々あった。以下は本文からの抜粋。

危機、すなわち不確実性が高く不安定かつ流動的な状況
作戦成功のための第一条件(前提)は、まず何よりも、作戦目的の明確化であり、それが作戦参加の主要メンバーによって共通の認識のもとに共有されていること、さらに、目的遂行のための自己の任務の認識が正確になされていることが不可欠である。
目的のあいまいな作戦は、必ず失敗する。
ミッドウェー海戦で勇猛ぶりをうたわれたスプルーアンス少将が、空母「エンタープライズ」の甲板上で、いつも参謀と散歩しながら、長時間にわたって議論を重ね、相互の信頼関係を高め、作戦計画についての検討を進めると同時に、価値観の統一を図った。
日本軍の失敗の過程は、主観と独善から希望的観測に依存する戦略目的が戦争の現実と合理的論理によって漸次破壊されてきたプロセスであった。
空気が支配する場所では、あらゆる議論は最後には空気によって決定される。
米軍は高度な技術を開発してもそれをインダストリアル・エンジニアリンングの発想から平均的軍人の操作が容易な武器体系に操作化していた。一点豪華で、その操作に名人芸を要求した日本軍の志向とは本質的に異なるものであった。
組織は環境の変化に合わせて自らの戦略や組織を主体的に変革することができなければならない。こうした能力を持つ組織を、「自己革新組織」という。日本軍という一つの巨大組織が失敗したのは、このような自己革新に失敗したからなのである。
日本軍は環境に適応しすぎて失敗した。
適応は適応能力を締め出す。
「分化differentiation」と「統合 integration」という相反する関係にある状態を同時に極大化している組織が環境適応にすぐれているということ。
組織文化(organizational cultures)を、組織が環境に適応した結果、組織成員に明確にあるいは暗黙に共有されるに至った行動様式の体系と定義する。組織が新たな環境変化に直面したときに最も困難な課題は、これまで蓄積してきた組織文化をいかにして変革するかということである。組織文化は、組織の戦略とその行動を根底から規定しているからである。
 およそイノベーション(革新)は、異質なヒト、情報、偶然を取り込むところに始まる。官僚制とは、あらゆる異端・偶然の要素を徹底的に排除した組織構造である。日本軍は、異端者を嫌った。
 組織は進化するためには、新しい情報を知識に組織化しなければならない。つまり、進化する組織は学習する組織でなければならないのである。




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