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2023/03/02

脳の闇 中野信子著 読了

以下の一節に救われました。
『残念ながら、多くの「迷う人」は、「迷わない人」のことがとても好きだ。「迷う人」は、自身に戸惑いや迷いが生じることを恥じていて、できれば「迷わない人」になりたいと願う。「迷わない人」に憧れ、その振る舞いを一時的に真似ようとしたりする。たいていの物事を遠目で見てしまう私からすれば、もったいないな、と思わないでもない。本当は、迷うことのほうがずっと高度で、美しい機能なのに。』

これ以外にも気になった箇所は以下。
『脳は私たちの体にとって最大の浪費家であり、今以上に効率的な処理の方法を自然が見つけ出すことができない限り、人は「わからない」よりも、「根拠のあいまいな確信」を求めてしまうことになるだろう。中略 思考停止させてくれる何者かを常に求め、それを「わかったこと」にしたがる。』
『困難な道ではあっても、「わからない」を受容することが、長期的に見れば自分と自分の大切な人を守るための有効な手段たりうるということは、どうか知っておいてもらいたいと思う。』
『こんなに燃費が悪くては、あまり活発に動かすのは生存することを第一に考えれば得策とは言えない。誰かに決めてもらうとか制約があることを心地よく思うのには、これだけのメリットがある。ヒトは本来、できるだけ不自由でありたいと望んでいる。みずから進んで制約のある状況を選び、檻に入りたがる。むしろ、制約がないと不安を感じ、不快感にさいなまれるはずだ。』
『「どうでもいい」という感覚は、』投げやりなように見えるかもしれない。けれど、他人に一貫性を求めず、社会を健全に保つためには、良い距離感を示唆する絶妙な指標となるのではないか。』
『不思議なことだが、つましい暮らしでも日々心安らかに過ごすほうを選びたい、と公言する人のほうが、より人間らしいとみなされ、世間から受け入れられやすいという雰囲気はあるように思う。自由を希求するのがすばらしい人間だ、というようなことが言われながら、制約された思考を心地よいと感じる人のほうが人間らしいとみなされる。つまり、すばらしい人間とは人間らしくない人間なのであり、人間らしい人間とはダメ人間のことなのだ。』

とりあえずこんなとこかな。




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