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2022/04/28

希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章 ルトガー・ブレグマン著(野中香方子訳)読了

 ウクライナが戦火にまみれている今だから余計大事にしたくなる。
 1914年のクリスマスイブ。第一次世界大戦勃発から数か月、この間100万人が戦死したそのクリスマスイブ、ドイツ兵とイギリス兵は聖歌を歌いあった。塹壕から出てプレゼント交換をしたドイツ人とイギリス人もいた。サッカーの試合もあった。「ぼくは数時間前に殺そうとしていた男たちと語り合い、握手をしていた」「なんと素晴らしく、不思議なことだろう」「恐ろしい敵があっという間に友人になった」。
 そう、ブレグマンが何度も繰り返すが、「前線からの距離が遠くなればなるほど、憎しみは増大した。母国の行政機関、ニュース室、居間、パブでは、敵に対する憎しみはきわめて強かった。しかし塹壕では、兵士たちは相互に理解を深めた。あるイギリス兵は故郷への手紙にこう記している。「彼らと話をした後、多くの新聞記事は恐ろしく誇張されているに違いないと思いました」。
 自分の塹壕に立てこもると、現実が見えなくなる。他社への増悪を駆り立てる少数の人が、すべての人間を代表しているように思えてくる。ツイッターやフェイスブックにまかれる毒もそれと同じで、大半はほんの一握りのインターネット荒らしによるものだが、大多数の声のように思える。しかし、強い毒をまき散らすインターネット荒らしでさえ、ふだんは思慮深い友人や、愛情深い介助者かもしれないのだ。
 現在、現実主義という言葉は、冷笑的(シニカル)の同義語になっているようだーとりわけ、悲観的な物の見方をする人にとっては。しかし、実のところ、冷笑的な人は現実を見誤っている。わたしたちは、本当は惑星Aに住んでいて、そこにいる人々は、互いに対して善良でありたいと心の底から思っているのだ。だから、現実主義になろう。勇気を持とう。自分の本性に忠実になり、他者を信頼しよう。白日のもとで良いことをし、自らの寛大さを恥じないようにしよう。最初のうちあなたは、騙されやすい非常識な人、とみなされるかもしれない。だが、覚えておこう。今日の非常識は明日の常識になり得るのだ。さあ、新しい現実主義を始めよう。今こそ、人間について新しい見方をする時だ。




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